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 埼玉県 坂戸市 明海大学 歯学部付属 明海大学病院 矯正歯科

 〒350-0283
 埼玉県坂戸市けやき台1-1
 電話 049-279-2808
  口唇口蓋裂の治療について
 
 
明海大学病院においては矯正歯科、口腔外科・小児歯科・言語聴覚療法・
 埼玉医科大学形成外科と連携してチームアプローチをおこない、
口唇口蓋裂
 の総合的な治療
を行っています。


 
口唇口蓋裂の治療について
 口唇口蓋裂は、口唇や口蓋に裂のある病気です。口唇口蓋裂は、500人に一人の割合で発症する比較的頻度の高い生まれつきのご病気です。口唇や口蓋の連続性を獲得するには、手術が必要になります。
 最近、手術の方法には様々な改良や進歩がみられ、見た目や機能的な障がいがわずかになっています。このような手術の終了後、歯並びや咬み合せを治すため、多くのお子さまで矯正治療が必要になります。
 当科では、経験豊かなスタッフが、多数の口唇口蓋裂のお子さまに矯正治療を行っています。ぜひご相談ください。
 また口唇口蓋裂のお子さまでは、母乳を吸うことや発音がうまくできない場合があります。当科では、歯並びや咬み合せを治すだけでなく、生後間もないお子さまの哺乳の問題と、言語治療にも積極的に取り組んでいます。
 
 
口唇口蓋裂の治療の1例
     
 
 
 
 
赤ちゃんの哺乳と口唇形成前の顎矯正について
 口蓋裂をもつ赤ちゃんはミルクを吸い込む力が弱いので、哺乳が困難だったり、時間がかかる場合があります。そこで 明海大学病院ではミルクを上手に飲むために、赤ちゃんの口蓋にプラスチック製の口蓋床あるいは哺乳床とよばれる装置を用いています。また、この装置は口蓋や上あごを小さくする作用があります。

このような装置を用いた治療は、早期(生後2週以内)に開始すると赤ちゃんがより自然に装置に慣れてくれます。出来るだけ早くご相談ください。


症例の概要」
@主訴:哺乳が困難、A診断名:片側性唇顎口蓋裂、B年齢:0歳
C治療に用いた主な装置:口蓋床(哺乳床)、D抜歯部位:なし
E治療期間:約3か月、F治療費概算:保険適用、Gリスク副作用:なし


・裂が閉鎖されることによりミルクが飲みやすくなります。
・裂へ舌が入らないので、成長が阻害されるのを予防できます。

 
 
治療の流れと矯正歯科医の役割

1)歯並びの問題

 口唇裂・口蓋裂に伴う歯並びの問題には次のようなことがあります。

 ・歯の本数が少ない、歯が小さい、萌える時期が遅い
 ・歯がねじれて生えてくる、歯並びが凸凹
 ・上あごが狭く、下あごとうまく合わない

 このような問題は、上あごの手術の影響で生じる瘢痕組織により、顎裂があり歯の生える場所が少ないため、上あご全体が狭かったり、歯が凸凹に萌えてきたりします。


2)乳歯列期の治療

expansion plate

 乳歯が萌えそろう4歳〜5に、歯列の型やレントゲン写真などの検査を行って、今後の見通しを立てます。必要であれば、装置を使って狭くなった歯列を広げたり、前歯のかみ合せが反対の場合は、上あごの発育促進などの矯正治療を行います。乳歯列期は上あごが大きく成長する時期ですので、このような治療の効果が高い時期です。


3)顎裂部骨移植術

 前歯や犬歯の萌出誘導のために、6歳〜10に行います。顎裂部骨移植術は、顎裂に骨を移植して、裂のある歯ぐきをつなげる手術です。ただし、顎裂相当部に萌える永久歯が欠如している場合は、治療方針により時期が異なります。


4)混合歯列期から永久歯列期の治療

 顎裂部骨移植術のあとは新しくできた歯ぐきに歯を移動して、移植した骨が保たれるようにします。これは歯に直接、固定式装置(ブラケット)をつけて歯を動かします。

また、乳歯列期と同様に上顎の発育促進をおこなったり、劣成長の著しい場合は成長期に化骨骨延長術を行うことがあります。


5)成長終了後、永久歯列期の治療

 個々の歯の位置異常の改善とかみ合わせの最終的な調整の時期です。全部の歯に固定式装置(ブラケット)をつけます。いわゆる「受け口」などのように上あごと下あごのバランスが合わない場合は、顔面骨骨切り手術を行うこともあります。これは、上あごや下あごの骨を切って上下のかみ合わせをあわせる手術で、普通は顔の骨の成長が止まった後、18歳以降に行います
症例の概要」
@主訴:受け口、A診断名:骨格性反対咬合、B年齢:18歳
C治療に用いた主な装置:マルチブラケット装置、クワドヘリックス
D抜歯部位:上顎右側側切歯、左側第一小臼歯、E治療期間:約3年
F治療費概算:保険適用、Gリスク副作用
顎矯正手術時に、知覚麻痺の可能性があります。

 
 
口唇口蓋裂にみられることばの問題とは

 口唇口蓋裂では、何らかの原因によって、くちびるや口蓋(上アゴの天井部分)に連続性が得られていません。このような状態では口と鼻がつながった状態となり、授乳や摂食が困難になるだけでなく、発音にも影響が生じます。

私たちには、摂食や発声、楽器を吹いたり、ストローで吸ったりする時に、呼気や食物が鼻に抜けないようにする「鼻咽腔閉鎖」という機能があります。この機能は、軟口蓋(上アゴの天井部分の後部)が、鼻の後ろの出口を塞ぐことによって営まれます。しかしながら、口唇口蓋裂では、軟口蓋の組織量の不足や筋肉の走行異常などにより、鼻腔をうまく塞ぐことができません。この障害を鼻咽腔閉鎖機能不全(以下VPI)と呼んでいます。VPIにより話し言葉が聞きづらくなったり、共鳴の異常である開鼻声(鼻に抜ける声)を生じたり、誤った発音を生じます。発音のことを専門用語で構音といい、一般的に発音の問題を構音障害(こうおんしょうがい)と呼んでいます。

口唇、口蓋など発音に関係した器官を「構音器官」と呼び、口唇口蓋裂では構音器官に問題が生じた「器質性構音障害」がみられます。前述したようなVPIの問題で引き起こされる構音障害もあれば、VPIには問題がないものの口蓋形態の異常により正しい構音ができない場合もあります。

 これらを予防するためにも一貫した治療システムでチームアプローチを行うことにより、適切な時期に適切な処置、言語評価、トレーニングを行うことが大切です。

言語聴覚療法について

 明海大学病院では2000年より、矯正歯科、口腔外科、小児歯科、補綴科などと連携をとり、ことばの問題に対する言語聴覚療法を行っています。

当院で行っている言語聴覚療法

 当院の言語聴覚療法は以下のような問題でお困りの方に指導や助言を行っています。

1.口唇口蓋裂のことばの問題

2.鼻咽腔閉鎖機能不全によることばの問題

3.舌小帯付着異常によることばの問題

4.顎変形症等によることばの問題

5.口腔の形態異常がないにも関わらず生じる発音の問題

6.口腔がんの手術後のことばの問題

当院で行っている言語の検査

 当院の言語聴覚療法で行っている検査は、以下のようなものです。特に身体に負担のかかる検査内容ではありません。

1.口腔構音器官の運動機能評価
  舌、口唇、口蓋の形から舌の動き、口唇の動き、軟口蓋の/あ/発声時
 の動きなどを調べます。

2.鼻咽腔閉鎖機能評価

 発音時、ブローイング時などに呼気が鼻からどのくらい漏れているかを調べます。鼻咽腔閉鎖の状態に応じて、より詳しい検査が必要かどうかを医師や歯科医師と共に判断します。

3.構音検査

 どの音が発音できていないかを、単音レベル、単語レベル、短文レベルで調べます。誤り音に対する発音練習の手がかりとします。

口唇口蓋裂の言語聴覚療法におけるチームアプローチの概略

 当院では、様々な診療科と連携し、将来起こりうる問題に対してチームアプローチによる診療体制を整えています。

言語聴覚療法の手続き

 まず、口腔外科、矯正歯科を受診していていただき、担当医の先生に言語治療についてご相談ください。(予約制)

言語聴覚治療の診療日

原則として、木曜日(3回/月) 15:00〜17:00
     
 土曜日(1回/月) 10:30〜16:00


明海大学付属明海大学病院 矯正歯科では、多施設で共同して治療の技術向上を目指しています。
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